「台灣」樹林調車場にイソウロウ

〜第1部 台湾鐵路を牽引するチカラ〜

第2部にジャンプ



〜幹線特急から客車鈍行まで〜台北郊外の大規模車両基地にイソウロウする。


↑台鉄の看板電機E400と味のある青い客車が休息中です
 

樹林調車場

 

台北から南に向かう列車は市街地の地下区間を抜けると、右手に広大な車両基地が有ります。そこが樹林調車場です。「調車場」とは日本で言う「運転区」。台北から東へ向かう列車をメインに一日百本以上にも及ぶ列車が行き交います。花蓮まで電化された現在、電気車、ディーゼル車、客車と様々な種類の列車が集結し、台湾鐵路の賑わいを垣間見る事が出来ます。


樹林調車場は1998年、板橋駅の地下移転によりそれまで板橋にあった車両基地を丸ごと移転してきました。台北から花蓮、台東に向かう優等列車から台北近郊の通勤電車までを一手に引き受ける大規模車両基地として欠かせない存在になっています。

 

いざ!調車場
 


正門を入ると整然とした敷地に機関車や電車の姿が見えて来ました。


(右上) 東部幹線を走破するDL達。最近は花蓮電化の影響で多くの列車がEL牽引に置き換わり、貴重な存在になりつつありますが、まだまだ主役の座は譲れないといった感じで鎮座しています。

(右下) 蘇澳まで足を伸ばすようになったイタリア製のEMU300型も宜蘭線電化後は樹林の仲間入りをしました。

行政中心

 
早速、行政中心(センタービル)にて指導運転主任さんに挨拶をし、イソウロウ開始!

(左上) マニアの間で”アイスクリームコーン”と呼ばれる特徴的なセンタービルの外観。

(右上) 樹林調車場の中には機関区である台北機務段-樹林機務分段があります。

(右下) 今回内部を案内してくださる指導運転主任先生、宜しくお願いしま〜す!

センタービルを歩く

 
まずはセンタービルの中を探検です。

全館空調完備で館内は快適です。

(右上) 乗務員さんのロッカー室。台湾らしくバイクのヘルメットも多いです。
 

運轉股のカウンター

 

列車の乗務員さんが乗務前後に点呼(上班報到)を受けるのがこの場所です。



通勤電車も自強號も司機員(運転士)さんはこの場所から乗務が始まり、この場所で乗務を終えます。

運転股の風景

室内には乗務員さんたちの乗務状況が一目で分かるプレート板や、ブレーキハンドルなど日本の運転区にも通じる風景です。

アルコール測定器

 




運轉主任さんが樹脂製の大きな箱を出してくれました。これは運転士さんが乗務前にアルコールチェック(酒精測試)を受ける為の機械です。少しでもアルコールが出れば乗務はNGとなります。台湾鐵路の安全性はこのようにして守られています。
 

路線状況を知る




運転股の壁には工事予告や臨時の速度規制などを告知する掲示板が有ります。乗務員さんたちはあらかじめ自分の乗務する線区に工事や速度規制がないかチェックして行きます。


(左下) 2004年4月29日を以って自動化される花東線は最高速度が110km/hに引き上げられるとの通達です。

指導運転辧公室

 

樹林機務段の頭脳、指導股の事務室です。職員さんの教育から監督まで様々な業務を行います。
 

〜指導運転辧公室の風景〜



室内は近代的なオフィスといった感じです。
宝の山!



指導運転辧公室には多くの資料が有ります。見入っているだけで1日が過ぎてしまいそうな豊富な資料に圧倒されそうです!

(中央) 「台灣黄昏地帯」けてる先生製作のアイコンを公文書の表紙に発見!

(左下、中下) EMU600型のマニュアル類。製作社である"KOROS(韓国鉄道車両=現Rotem)"のロゴがあります。
 


いざ、外へ!

 

センタービルから南国の日差しの下へ!いよいよ機関庫である樹林機務分段へと向かいます。


(左上下) 車両に積み込むお湯ポットの洗浄場所。お湯沸かし用のボイラーも見えます。


(右下) 樹林では乗務員の訓練用に運転シミュレーター(模擬機房)があります。

検修庫に入る

 

広大な敷地の中にまた広大な検修庫が姿を現してきました。

 

機務分段の柴電

 

樹林〜台北から遠く花蓮、台東を目指すDLが休養していました。朱色の車体に白いラインは日本のDLにも通じる物があり、魅惑のデザインです。

これが新型入換機DHL100型!

 

庫内に佇む真新しいDLは2002年新潟生れのDHL100型入換機です。キャブの形状などは"台灣版DE10"といったところですが、スカート上にもライトがあったりと、まさに「入換」の作業性に重点を置いて作られた機関車です。

DHL100のディテール

DHL100の細部を観察します。運転機器には日本の様々なメーカーの部品が使われています。

 

樹林機務分段 〜機車工場の風景〜

機務分段の機関車検修ラインの風景。大規模な整備、修繕は台北市内の台北機廠で行われますが、通常点検や修繕はここ樹林で行われます。

高い天井に多くの部品、油の匂いが心地良い空間です。
 

検修庫外の機務段施設

 


検修庫の外にも、様々な機関車メンテナンス施設があります。

(左上) DLの方向転換を行うターンテーブル(転車台)

(右上) 機関車の給油、給砂設備。

(右下) 機関車の清掃ライン
 

台灣鐵路の俊足電機、E400型

 

洗浄ラインには台灣鐵路を代表する電気機関車E400が休息中でした。



E400はアメリカGE(General Electric)社製、最高速度130km/hの優等列車用電気機関車ですが、東部幹線の電化に伴い、最近は「普通」「平快」といった青い客車の先頭に立つことが増えました。

E400の運転台

 

E400の運転台を観察します。黒いパネルに電流計、圧力計と大きなメーターが並びます。

E400のディテール@

 

E400の運転室を観察します。


(左中央) スロットル(マスコン)は10段。電気回路の確実な切替が行われるように「0段(OFF)にする前に1段で3秒以上保つ事」と注意書きが有ります。


(右下) 機関助手席は2人掛け席になっています。

E400のディテールA

 

(上3枚) E400の機械室内部。高電圧で大変危険な為、通常は見る事が出来ませんが、今回は特別に取材させて頂きました。

信号扱い所の風景

 




機務分段部分の列車の進路を操作するのが、ここ信号扱い所です。

内部は大きな操作パネルがあり、構内の配線やポイント方向が一目で分かります。

ターンテーブルだ!

 

機関車のあるところにターンテーブルあり!樹林にも立派なターンテーブルがあります。

柴電を回そう!

 

今回、指導運轉主任さんの計らいで、特別にターンテーブルを回して頂ける事になりました!!しかも撮影用に運用の無いDLを起動してターンテーブルに乗せてくれました。

親切な機務段の皆様に感謝感謝です!

樹林探訪はまだまだ続く


↑衣服も客車も休息の一時

台灣鐵路の新しい運転区、樹林調車場は東京で言えば品川-田町や尾久-田端、ソウルでは水色のような首都圏の様々な列車の大切なネグラとなっています。第1部では事務室や機関車の風景を中心に樹林を牽引する"チカラ"を垣間見てきましたが、第2部ではいよいよ旅客列車にスポットを当てます。

[第2部に続く]
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