「韓国」KTXソウル駅にイソウロウ
〜KTX開業編〜

2004年1月-竣工式の様子はコチラ



2004.4.1の高速鉄道開業から1ヶ月。高速鉄道時代のソウル駅に再訪する。

↑高速鉄道時代の幕が開いた韓国鉄道。その中心駅ソウル駅に再度イソウロウします。

 

ソウル駅内部の風景

KTX(韓国高速鉄道)が開業して1ヶ月。すっかり駅の表示にもKTXの文字が多く定着しています。セマウル号、無窮花号の多くが一つ南の龍山始発に変更され、現在ソウル駅に発着する列車の6割がKTXになっています。

切符販売も新時代

切符売り場は今も窓口がメインですが、自動券売機自動券売機も多数設置されています。

(上中) 新型の自動券売機

(下中) 鉄道会員用の券売機

(上右) 旅行情報案内機

KTX乗車口
 



セマウル・無窮花号の乗車口及び全列車の降車口は2階ですが、KTXの乗車口のみはコンコース3階になっています。ちなみにソウル駅の改札開始は出発15分前になっています。

KTX案内スタッフ

 

ソウル駅の各所にはKTXのチョッキと帽子をかぶった案内員さんが、乗客の案内・誘導を行っています。

新しい列車-KTXが走り出して、少しでも乗客の不便を無くそうとする韓国国鉄の力の入れようが見えます。
 

新しい乗車券類

 KTX開業を前に韓国国鉄では乗車券を一新しました

(上) 高速鉄道開業記念の乗車券ホルダー(提供:Hwang Seong-Deok様)
(中) KTXの乗車券(提供:Hwang Seong-Deok様)他の列車の乗車券も全てこの種類になりましたが、ごく一部の田舎駅では旧式の乗車券が発行されています。

 

乗車券

 

 

 

 

釜山

ソウル

 

 

Busan

 

Seoul

 

 

0401日12:00

14:52

 

 

KTX      14列車

一般室

8号車6B

 

運賃 45,000

料金 0  領収額 45,000

 

 

 

 

 

(下) 自動改札機対応の新しい入場券。ソウル駅の入場券は従来のKTXの写真入の物ですが、通常の駅では、カードサイズになっています。
韓国での入場券は、乗客見送りのための目的故に、入場できる列車が決まっています。撮影目的で長時間ホームに居る事は出来ませんので、撮影の場合は駅長さんに許可を頂かなければなりません。

 

入場券

 

 

 

 

2004.05.04

KTX

56列車(15:50)

 

 

天安牙山

 

 

 

"車内に入らないで下さい"

 

 

 

 

 

 

領収額 500

 

 

 

 

 

自動改札機をくぐる

 

いよいよ稼動を開始した自動改札機をくぐり、ホームへ入ります。

ちなみにまだ改札が始まっていない列車の場合はゲートが開かないようになっています。

それではホームにLet's go!

ソウル駅ホーム

 

ホームに降りてビックリ!とにかくKTXが多いです。

高いドームとTGV種の列車がヨーロッパ風の雰囲気を出しています。

(左下) ホームの駅弁売店。駅弁といっても種類は無く、日本のコンビニ弁当のようなスタイルの物も多いです。

(右下) 2004年の元旦に国務総理を乗せて試運転をした第21編成とも再会。試運転時には汚れていた車両もご覧の通り。

KTX大集合!

ホームの端から写真を撮るとKTXがずらり。一番右は在来線のセマウル号です。韓国のKTXは日本の新幹線と違い、高速線列車と在来線列車が同じホーム、同じ線路を使います。
 

通勤列車の姿


統一号として京義線を走る統一號は2004年4月から"通勤列車"と名前を変更しました。

(右上) 通勤列車のサボ。オレンジ地にハングルで「通勤」と書かれています。




(下2枚) 朝夕のラッシュアワーは京釜電鉄線(通称:地下鉄1号線)の急行電鉄(快速電車)が乗り入れます

新生ソウル駅の情景

KTXが行き交うようになり、更に活気付いたソウル駅。ここに居ると韓国鉄道が新しい時代を迎えたと実感できます。
 

せっかくなのでKTXに乗ってみましょう!

 

このページはソウル駅にイソウロウのはずですが…行き交うKTXを見ていると…やはり乗らなくては!と言う事で、ソウルから→KTX新駅の天安牙山まで、体験乗車します。

営業列車の一般室


一般室の様子。中央のテーブルは折りたたみ式です。KTXロゴ入りのカバーも清潔感があります。

明るく快適な車内ですが、やはり椅子が回転しないのと、座席が少々手狭なのが残念…

 
その他設備

 


試運転列車では空になっていた自動販売機にも飲み物やお菓子が並びます。

(上中央) 荷物置き場のスペース

(中段左) KTXの車内販売ワゴン

(下中央) 車内販売用に業務用の冷蔵庫も完備

女性パーサー

 

KTXは1編成に男性車掌が1人、女性パーサーが3人乗務しています。出発前の列車入口では笑顔で乗客を迎えます。

平均すると一人の受け持ちが4〜5両。笑顔と裏腹に大変苦労の有る激務です。

「特室の中を見せてください〜」

女性パーサーさんにお願いして特室内を案内してもらいました。

「日本から取材に来ました〜特室を見せてください」「えぇっ!中をですか〜!?、発車時間までまだあるし…ちょっとだけですよ〜」

突然訪問の日本人にも非常に親切に案内してくださいました。

特室の内部

特室は本家フランスTGVの1等の如くゆったりした座席です。肘掛にはモニターのイヤホンジャックがあり、まさに飛行機の雰囲気です。

(上段中) 室内のモニターには新幹線700系が!?韓日共同乗車券(日韓共同きっぷ)のCMです^^;

(下段右) 特室には新聞のサービスも完備。

カムサハムニダ〜(ありがとうございます)

 

親切に特室を案内して頂いたパーサーさんにお礼を言って再度ホームを探検。

(右上) 車掌さん及び女性パーサーさんが携帯する端末。

(左下) ホームにはKTXの座席カバーがダンボール積みされていました。

出発前の一時

 

発車5分前。多くのお客さんが列車に乗り込んで行きます。

マニアの為のKTXミニ知識@ 緩解表示器

 



連接台車の上にある赤い小窓。ブレーキが掛かっていると赤色、ブレーキが掛かっていないと緑色の表示をします。

韓国の鉄道車両にはこの表示窓が多く装備されていますが、すべて台車上にあります。KTXに限ってのみ台車上の車体に付いています。

KTX発車!

 

いよいよ発車時間!ドアが閉まり、ブレーキ緩解の後、列車は静かに動き出しました。天安牙山まで約100Km、40分足らずの旅の始まりです。

ソウル駅を後にする

 

列車はソウル駅を出発すると、在来線である京釜線本線を走ります。

首都圏を快走!

 

南営駅手前で京釜電鉄線と並行し新しくなった龍山駅を通過すると漢江鉄橋を渡ります。過密ダイヤ区間故に速度は70〜100Km/hといった感じです。

(右上) 車内誌[my KTX]飛行機の機内誌のようにいろいろな話題が載っています。

 

列車は無窮花号やセマウル号とすれ違いながら、在来線をひた走ります。主要駅の永登浦駅も軽々と通過して行きます。

在来線から光明駅へ


電鉄線と併走しながら、始興駅を過ぎると、在来線とお別れ。地下トンネルに入り数分間地下区間になります。トンネルを出るとすぐに光明駅に着きます。

(左上) 車内販売のコーヒーサービス
(左下) 光明駅のホーム。KTXの駅は広くて天井が高いです

マニアの為のKTXミニ知識A 車窓から見えない車両基地-(通称)KTX始興基地

 光明駅のソウル寄りのトンネルの中にソウル方面とは別の線路が分岐しています

これがKTX始興基地(正式名称は光明停留線。電鉄安山線の始興基地とは全く別)です。KTX列車はこの真下の地下区間を行く為、車窓から見る事が出来ませんが、京釜電鉄線の石水駅付近で水原からソウルに向かって左手、ビルや高速道路の向こうにわずかにその姿を見る事が出来ます。HSR-350X(通称G7)も五松基地〜KTX始興基地間での往復試運転が多いです。
 

いよいよ高速新線!


光明駅を発車するといよいよ高速新線に入ります!

ここからがKTXの本領発揮!乗り心地的には新幹線のような加速感は感じない分、「いつの間にかトップスピード」と言う感覚が有ります。また、思ったより揺れが少ないのにもオドロキです。

列車はグングン速度を伸ばし、車窓も素早く流れて行きます。
 

高速新線を快走!

光明を出発したKTX列車はどんどん速度を上げて、京畿道をひた走ります。流れる車窓は日本の新幹線に似て非なる感じです。駅を出て数分後には最高速度の時速300Km/h!韓国三千里の景色が素早く流れます。

(上中央) 天安名物「ホドゥグァジャ(豆ケーキ)」も車内販売されます。
(右上) 安山線の高架も越えてゆきます。
(右下) 窓に反射した日差しがコンクリートの側壁に映ります。これを見ると車体の短い「連接車」に乗っていることが実感出来ます。
(左上) 日差しの強い時は通常のカーテンの他にスクリーンカーテンがあります。

 

マニアの為のKTXミニ知識B - TVM標識

 KTXの高速区間でよく見かける青地に黄色三角の標識。TGVに乗ったことのある方ならピンと来られる方も多いと思います。

この標識は「TVM標識」。KTXが採用したTGVの信号システム「TVM430」から起来しています。ちなみに機関士さんの用語では「閉塞警戒標識」。高速新線では速度が速く色灯式の信号機は認識できない為、高速新線を幾つかの区間に分けて、地上司令室のコンピューターが区間ごとに最高速度を決め、運転室に取り付けられたモニターで機関士に伝えるシステムを採っています(ATCシステム)。TVM標識はこの区間の境界を意味し、この標識を通過すると運転室には新たな最高速度の指示が送られてくる仕組みです。

ちなみに日本の新幹線等に搭載されているATCとは違い、「制限速度(VL)」「予告速度(A)」「実行速度(E)」の3種別の速度信号が出ます。高速新線内の速度信号は170km/h・230km/h・270km/h・300km/hとなり、庫の他に駅構内等では状況に応じた速度信号が出ます。また、指示速度から15Km/hを越えると自動的にブレーキが掛かります(駅停車指示の0Km/h・SNCF-000信号を除く)

(取材協力:高速鉄道乗務事務所の機関士様 ありがとうございました)

(左下) TVM標識の下の線路上にあるアンテナ。ここから運転席に最高速度の信号を送ります。

300km/h運転!



時速300km/hの運転室風景。目の前の景色が瞬く間に流れて行きます。KTXは運転室位置が高い為、体感的な速度感が幾分緩和されています。と言っても実際の運転室で感じる速度は物凄い速度です^^;


(取材協力:韓国鉄道庁 及び 高速鉄道乗務事務所様 ありがとうございました)
 

マニアの為のKTXミニ知識C - 点検列車

KTXは始発列車の走る前、線路や架線、信号の状態を点検する為に1編成を用いて事前に「点検列車(非営業)」を走らせます。点検列車は高速区間では常に200Km/hの速度で走り続け、異常が無いかをチェックします。

下り点検列車ダイヤ

駅名

点検列車
KTX901列車

点検列車
KTX911列車

ソウル駅

5:00

-----

光明駅

5:14-5:15

-----

天安牙山駅

5:44-5:45

-----

大田駅

6:12

5:20

東テグ駅

-----

6:18

天安牙山駅到着

 

高速新線に入ってわずか20分少々で天安牙山駅に到着しました。汽車旅派には少し物足りないくらいの本当にあっという間の旅でした。

天安牙山駅の風景

 

KTX開業に併せて開業した天安牙山駅。市内へは車で15分ほどの距離ですが、現在建設中の天安〜温陽温泉への電鉄線(長項線)と接続する為一部が工事中です。


サービスパック

KTX天安牙山駅通過
(.wmv.1Mb)

 

特別編
(事務所紹介ページに収録)
併せてお楽しみ下さい


KoreanEdition2004Movie
KTXで旅をしよう!
7列車ソウル→天安牙山駅

KTX天安牙山駅を後にする


日本に新幹線が開通して40年、その衝撃的なデビューはヨーロッパ諸国の鉄道の高速化に大いに火をつけました。そんな中で、ヨーロッパの高速鉄道をリードしてきたフランスからはTGVという車両が生まれました。そして、そのTGVが韓国向けに姿を替え2004年、KTXとしてお隣の国、韓国の鐵路を縦横無尽に走るようになりました。

ヨーロッパスタイルの駅舎に車両、しかしアジアンな人々と沿線風景…ここ天安牙山駅にいると地球規模に発展する鉄道と言う乗り物のロマンを感じずには居られません。

今後の東テグ〜釜山間の高速線開通に伴うKTX全線開業、湖南高速鉄道の開業とKTXの韓国鉄道の発展への期待に胸を膨らませながら新生ソウル駅からKTX小旅行の目的地、天安牙山駅を後にした…

イソウロウ日時
2004年5月



  トップページへ
HOME