「韓国」夜の首都圏電鉄線にイソウロウ
〜第1部 京仁急行 中抵抗電車〜



眠らない街、夜のソウルの通勤電車にイソウロウする。

↑日本での「快速」に当たる「急行電車」の運転室。通過駅はサクサク飛ばし、長距離列車の走らないソウルと仁川のアクセスが大変便利になりました。

 

京釜・京仁電鉄線(首都圏電鉄線)について
 

韓国の首都ソウルはアジアでも有数の大都市です。人口1000万以上と言うソウルと首都圏には市民の手軽な交通手段として「電鉄・地下鉄」と呼ばれる通勤電車網が発達しています。「電鉄」と言うのは日本で言う私鉄ではなく、一般的には「電化された通勤路線」を指します。同じ京釜線でもKTXやセマウル・無窮花号の走る路線は「長距離線(本線)」、通勤電車の走る路線は「電鉄線」と区別します。電鉄線と長距離線は通しで切符を買えないため(電鉄線は地下鉄と同等の扱い)、電鉄⇔長距離線乗り換え時には都度改札を出なければならないのが日本と最大の違いです。

朱安駅の風景

ソウルと近隣の港町、仁川を結ぶ京仁線は韓国最初に鉄道が敷かれた由緒有る区間、まさに「新橋〜横浜」です。1974年からは電化が完成し、韓国初の通勤電車が走り出しました。1990年代後半からは「直通電鉄線(現在は急行線と改称)」と呼ばれる快速電車専用線が並行建設され、ソウルと仁川方面のアクセスが飛躍的に向上しました。

今回のイソウロウは京仁急行線の仁川側の始発駅、朱安駅からスタートします。

電車が入ってきた!



早速ホームに電車が入って来ました。今回乗るのは京元電鉄線でもお世話になった中期抵抗車と呼ばれる電車です。


最近の電鉄駅の風景は看板こそ韓国語ですが(当然そうですね^^;)、日本の私鉄にも雰囲気が似ています。
 

朱安→九老を急行電車にイソウロウ
 
列車が到着し、早速運転室にお邪魔しま〜す。


今回も大韓民国鉄道庁の方々に多大なご協力頂き、運転室添乗取材です。「宜しくお願いしま〜す!」と挨拶を交わし運転室に乗り込みます。

(左上) 列車の先頭部。鉄道庁のマークが新CIに変更になったため、前面中央にペイントされていた従来の逆三角形の旧鉄道庁マークが消されています。が、列車の前面上にある鉄道庁マークは先々代の円形のタイプでした。
急行電車、朱安駅発車!

 

程なく戸締め、計器ランプが点灯し出発進行!

急行運転区間の朱安→九老まで20Km少々、約25分の電車の旅が始まります。

京仁急行のダイヤ

 

これが機関士さんの携帯する時刻表です。急行区間の停車駅は桃色の部分です。このダイヤを見ると、龍山行き普通、朱安行き急行、議政府北部行き普通と、様々な列車の表記があります。首都圏電鉄線の機関士さんは、1つの路線ばかりではなく、様々な区間、列車を運転していることが分かります。

京仁急行線を快走

 

列車はグングン速度を上げて行きます。

(右下) 列車の状態などを見るモニター。列車の速度やダイヤなどが表示されます。ちなみに上から2段目は、「速度66km/h、次の駅 銅岩」と表示されています。

間石駅通過!

 

最初の通過駅、間石駅を通過します。

急行電車は走る

 



複々線の電鉄線を軽やかに走ります。

京元電鉄線は複々線で中央の2線が急行電車の走る線路で、両脇が各駅停車(緩行列車)の走る線路になっています。

停車駅接近!

普通列車に追いつこうとする時、最初の停車駅、銅岩駅が遠くに見えて来ました。同時に運転室に設置された「停車駅」と書かれたランプが点滅し始めます(下2枚)

 

銅岩駅到着


普通列車と併走しながら、列車は銅岩駅の上り急行ホームに滑り込みます。

銅岩駅、電動車出発!

 

数十秒の停車の後、出発のブザー合図と共に計器盤が点灯し、列車発車!、ブレーキを緩め、ノッチが入ると列車は静かに動き出します。

各駅停車と併走

 

銅岩駅を発車してしばらく普通列車と併走します。程なく通過駅の白雲駅が近付いて、普通列車とはお別れ。「お先に〜」と言う感じで追い抜きます。この雰囲気はまるで日本の東海道本線や中央本線のようです。

急行電車走行中!


列車は60Km/h〜70Km/hの速度を維持しながら複々線区間を快走します。

この区間の信号機は京釜線同様、急行線と緩行線では微妙に緑色が違います。京仁電鉄線は普通列車の緑信号が青っぽく、急行列車が緑っぽくなっています。
次は富平

 


雨脚も少し強くなってきた中、夜の韓国の町を駆け抜けてゆきます。

次の停車駅は仁川地下鉄1号線乗換駅、富平です。

 

 

富平駅進入

 

列車は定時で富平駅に滑り込みます。

ここからは乗客の数もぐっと増えます。

富平発車!

 

機関士さんはダイヤを確認し、列車を発車させます。

貨物側線の脇を走る



京仁電鉄線の沿線は貨物列車の発着設備が多くあります。日中には普通列車の線路上に貨物列車が走る事も多く、仁川が工業都市である一面を垣間見る事が出来ます。

富開駅通過〜松内駅到着

 



富開駅を通過してしばらく走ると列車は富川市に入ります。遠くに松内駅が見えると交交デッドセクションです。機関士さんはノッチオフして50Km/h程度でセクション(死区間)を通過、松内駅にすべり込みます。

中洞駅通過

 

列車は松内駅を出発し、雨の中を走ります。

(中段3枚) 中洞駅を通過。仁川方面に新CIのトングリ電車が止まっていました。


次の駅は富川です。

富川駅到着

 



雨の中走ること数分、映画と文化の町、富川駅に到着します。

富川駅発車!

 

1分ほど停車して、富川駅を発車します。下り急行線には朱安行きの急行列車が入って来ました。最近の首都圏電鉄線VVVF電車に多く見られるLED行先表示改造車です。

(おまけ) ソウル首都圏で最近見られる改造車

 

ここ最近のソウル首都圏電鉄線では様々な改造車が見られます。
(上2枚) 内装難燃化&行先表示LED化のVVVF電車(日本式呼称:5000系)

(下2枚) ソウル1号線SMSC所属車(左画像の左)及び鉄道庁VVVF車(右)に組み込まれた古車再生T車。どちらもステンレス車の編成の中で異彩を放つ存在になっています。

ソウルが近付いてきた

 

列車はソウルに向けて夜の街を駆け抜けます。



素砂駅通過〜駅谷駅到着

 

列車はひたすら走り、素砂駅を通過、駅谷駅に入線します。

駅谷駅、定時到着!

 

慎重にブレーキを操作しながら列車は停止位置を目指して停車します。


今日は雨と言う天候を踏まえて普段より慎重なブレーキ技術が要求され、機関士さんも苦労が耐えない様子でした。

首都圏を快走!

 

列車はいよいよソウル市内に入り快走します。今までは1つ置きに通過していた通過駅も次の九老までは温水、梧柳洞、開峰、九一と一気に4駅を通過して行きます。
 

急行電車は走る


列車は60Km/h〜70Km/hの速度を維持しながら九老駅を目指します。

九一駅通過!


列車は最後の通過駅、九一駅を通過。列車の停車しない急行ホームは照明が消えています。

(3〜7番) 右側にあった下りの緩行線が急行線を跨ぎ、左側に降ります。その途中に交交セクションがあり、程なく九老駅に到着します。
 

九老駅進入!

列車は九老駅6番線に到着。京仁急行のイソウロウはここまで。

九老駅では機関士さんも交代。京仁急行の電車はここから先、全駅停車になり、終点龍山駅を目指します。

 

京仁急行を後にする


ソウル、仁川の首都圏2大都市を結ぶ電車も京仁急行の登場で大いに便利になりました。今後終点仁川まで延伸され、首都圏の鉄道ネットワークが更に便利になる事を願いつつ、京仁急行電車を後にしました。



今回のイソウロウはこれで終わりではありません。九老駅で京釜電鉄線に乗り換えてソウル駅を目指します。

 

第2部につづく
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イソウロウ日時
2004年5月



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