「台湾」夜行列車63次にイソウロウ



Go East!Go South!夜を徹して東海岸を目指す客車急行列車63次にイソウロウする。

↑今回の旅の出発点は台湾鐵路のメインステーション、台北駅です。不夜城台北の中心駅は夜になっても人や車が絶えません。

夜の台北駅の風景


台湾鐵路の中心駅、台北駅は台湾鐵路1路線、MRT(地下鉄)2路線を擁するターミナルです。宮殿を思わせる駅舎の中には、乗車券売り場や改札の他に地下街やレストラン街、そして台湾鐵路局が入っています。始発列車の出る朝4時半から終電の深夜1時前まで人影が絶える事はありません。


(左下) 台湾鐵路局の玄関。
 

旅立ちの台北駅

台北駅内部を探検します。

(左上) 台湾高鐵(台湾新幹線)ホーム工事に伴い、一部ホームは閉鎖中です。2005年には新しい様相でお目に掛かれる事です。

(中央下) 駅舎1F中央は吹き抜けのホールになっており、真ん中に長距離乗車券を中心とした切符売り場があります。

今回はここ台北駅から63次に乗車、縦貫線〜宜蘭線〜北迴線〜花東線と走破し、台東までの車内でイソウロウします。

63次入線!台北→台東をイソウロウ

 


台北駅の第3月台(ホーム)に63次が入線して来ました。


63次は呂
*光号(*呂はくさかんむりに呂)列車。日本で言う急行列車相当です。この列車は台北の近郊輸送として南に3駅前の樹林が始発です。急行と言えども座席は広く、日本のグリーン車並にリクライニングします。


台北からも多くの乗車が有ります。台東方面を目指す人、花蓮、宜蘭等の沿線主要都市に帰る人、近郊利用の人と様々な利用者がいます。
 

63次開車!
 

午後22:56分、63次は台北駅を静かに出発しました。終点台東まで350Km、7時間半の旅の始まりです。

松山から地上区間

 

列車は暫く地下区間を走り抜け、地上に出るとすぐに松山駅に到着します。

近郊利用客を中心に松山からも大勢の利用者が乗ってきます。

Ile de TAIWAN 〜 台北近郊を走る

満員状態の列車は台北の郊外を走り、八堵駅まで縦貫線を一路北上します。

八堵からは宜蘭線



八堵駅から基隆に向かう縦貫線と分岐、大きく右にカーブして宜蘭線に入ります。


宜蘭線に入った列車は暫く基隆川にそって走ります。

台北郊外を抜けて

台北郊外の瑞芳を過ぎると、郊外ムードも消え、すっかり日付も変わり、車内も一段落します。ここからは牡丹の山越えを果たし、海沿いを走ります。

(下中央) 漆黒の牡丹峠を超えると左手に海が見えてきます。

深夜の宜蘭県を行く

闇夜の中に明かりが見えてくると、宜蘭、羅東と停車して行きます。この頃になると半数以上の乗客は眠りに着きます。
 

夜行列車の風貌


列車は羅東を発車、車窓のネオンも減り、台湾北部の深夜を駆け抜けます。静かな車内ながら、デッキに出ると風の音や遠い先頭機関車のエンジン音が響き、日本にも通じる夜行列車の雰囲気満点です。


(左上) 蘇澳新駅に到着。乗降客も少なく夜行列車の途中駅の雰囲気満点です。蘇澳新駅は現在改装され、近代的な駅になっています。
 

北迴線を行く

静寂の中、蘇澳新駅からは北迴線に入り、進路を南へ向けます。複線電化された新しい線路をひたすら走り、南澳、東澳、和平、新城と停車して行きます。
 

花蓮駅到着!

 

時計の針が3時を回って程なく、63次は花蓮に到着しました。乗客の半数がここで下車します。

63次は花蓮で10分ほど停車。台東に向けて南下します。

花蓮駅の風景



停車時間の間に花蓮駅の探検です。多くの乗客で賑わう降車口とは裏腹に乗車口は静かで閑散としています。

 


花蓮駅を探検し、列車に戻ります。

63次の最後尾はオープンデッキになっており、往年の日本の客車列車の雰囲気に通じる物があります。

3:17 花蓮駅発車!

 

列車は定刻に花蓮駅を出発。ここから花東線に入り、朝の台東へひた走ります。

非自動区間の夜行列車

 

列車は花連の次、吉安から通票閉塞区間(*現在は自動化されています)に入ります。

車内も一層静かになり、ほとんどの乗客が夢の中の世界です。


(左下) 車両端に設置されたお湯サービスのポット

深夜の通票授受

 

深夜の閉塞駅ごとに通票授受を行います。眠りに着く車内と対照的に駅員さん、乗務員さんは不眠の激務が続きます。

大きな停車駅、小さな通過駅、全ての駅で駅員さんが列車を見送ります。目が覚めたらもうすぐ目的地と言う夜行列車も舞台裏ではこの様に多くの人々が不眠で支えています。

夜空が明けて来た!

 

車窓遠くの山影がうっすらと。遠くに一日の始まりが見えて来ました。

北回帰線上の駅〜瑞穂 

 

空が薄青くなった頃、列車は瑞穂駅に到着します。日中は近くの温泉地への観光客も多いですが、未明の夜行列車では降車客もチラホラ。

花東線はここから北回帰線を跨ぎ、亜熱帯気候の世界に入ります。

5:05 玉里駅

 

空が大分明るくなった頃、列車は玉里駅に到着します。花東線の区間普通列車に使用するDR2700型気動車も通勤運用の準備万端、エンジンのアイドリング音が駅構内に響いています。

最後方から

オープンデッキの最後方で風を感じます。

朝焼けの鐵路

列車はひたすらジョイント音を響かせて南下します。最後尾から流れる線路を見ると、空が赤み掛かっています。果てしない鐵路の旅。早起きは3文の得な瞬間です。

早朝の花東線

雄大な車窓が見えてきた頃、客室も徐々に目を覚まします。台北のネオン街を眺めながら眠りに着いた乗客はこの雄大な車窓風景に驚く事と思います(^_-☆

列車の舞台裏

 

63次は1両のディーゼル機関車が2両の荷物(電源)車と11両の客車を牽引します。客室の他の舞台裏にちょっとイソウロウして見ましょう。

(右上) 発電車の車掌スペース。呂
*光號客車にも車掌室があり、形式によっては車掌室の窓が開くようになっています。

(左下) 荷物室内

(右下) DL、R100型の運転室。

(全写真許可を得て撮影)

富里〜池上



車窓も明るくなり、列車は富里、池上へと停車します。


(右下) 富里駅の近くでは朝市が行われます。

(左下) 駅弁で有名な池上駅。早朝の63次では残念ながら販売はありません。

米どころを南下!



列車は米どころを南下、關山、瑞源と停車します。荷物車からも多くの荷物が降ろされます。時計の針も6時を回り、日も高くなりました。

鹿野〜山里



列車は鹿野と出発すると山間に入り、台東へ最後の峠越えがあります。

(中段左) 列車では検札を行います。

(下3段) 山里駅では運転停車。DR3100の自強號1052次と交換します。

ラストスパート!





7時間半の旅もあと1駅。終着台東が近付いています。

列車はトンネルと明かり区間が連続します。

台東駅到着


台北出発から7時間半、左手に台東機務分段のターンテーブルが見えると63次の終着駅、台東駅です。350Kmを走破した列車は静かに台東駅に到着。今回のイソウロウはここまで。
 

63次を後にする


台湾の鉄道路線の中でも個性的で魅力的な車窓を持つ花東線。朝、目を覚ますと雄大な車窓の中を走る風景は台湾の名列車の1つと言えます。日中の景色も素晴しいですが、深夜に働く人々、そしてそのご褒美にも見える最高の夜明け。花東線へのインパクトを最大限に演出する63次、今まで良くお世話になった感謝と共にこれからも頼りにしたい列車と思いを深めながら終点台東駅をあとにした…

イソウロウ日時
2002年5月

(※1999年5月、2000年8月、2001年5月、2003年3月の画像も使用しています)

63次の列車名「呂*光號」の呂*「くさかんむりに呂」と書く漢字ですが、エンコード上の都合で呂*と代替表記しています

※花東線の通票閉塞は多くのファンに惜しまれつつ、2004年4月29日その任務を終了しました。63次をはじめとする花東線の列車も現在は通票を使用していません。

63次の列車時刻は取材当時を基準にしています。 

 


追記…編集上の都合、画像の一部に夜の花東線を走る63次ではない呂
*光號の画像を使用しています。学術的な鉄道研究のHPではありませんので専門的には"?"と言う辺りは何卒ご容赦いただき、夜行列車63次の雰囲気を味わって頂ければ幸いです^^;
 


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