「台湾」 彰化機務段にイソウロウ



古き良き扇形機関庫の残る名門、彰化の機関区にイソウロウする。

↑日本時代に建てられた美しい扇形機関庫はR20やR50型ディーゼル機関車のネグラとして今なお現役!
 

台湾中部の彰化機務段

 

台北から西部幹線の自強号で2時間半、台湾中部にある彰化市は台湾鐵路の要衝です。


駅の構内に続く広大な敷地には機関車や客車、車籍こそ無いものの、往年の名蒸機DT668など多くの車両が停車しています。

彰化駅の高雄寄りには動力車や客貨車の整備を行う彰化検車段があり、台北寄りには機関区である彰化機務段があります。今回は古い歴史を持つ彰化機務段にイソウロウします。

イソウロウ開始

 

早速警備さんを通り、機務段にイソウロウ開始!中に鎮座する扇形機関庫は日本時代の大正生まれ。80年以上活き続ける現役機関庫は現在改修工事が始まり、美しい姿に生まれ変わりながら移り行く台湾鐵路を見守っています。
 

機務段を歩く
 

扇形機関庫に沿って転車台を目指します。

快晴の中、冬の彰化は春のような涼しい風が吹いています。

 

転車台だ!

 

機関区に沿って歩く事数分、転車台に到着です。

(左下) 台湾鐵路の歴史を物語る扇形機関庫。屋根上にずらりと並んだ排煙塔が古き良き蒸気機関車時代を今も物語っているようです。

彰化のスターロコ達

 

転車台を囲んで向き合う機関車。中型のディーゼル機R20や入換機S300と共に、甦った蒸気機関車が憩っています。


現在、彰化機務段は貨物機中心の機関区になっています。

彰化のスターロコ@ 甦ったSL,2台のCK

 


機務段で憩う往年の蒸気機関車。数年前に不死鳥の如く復活し、イベント運転等で大人気を博しています。


(上) CK124型

日本のC12の台湾版として1936年、日本車両で製造され活躍した形式。集集線などのローカル支線で活躍の後、惜しまれながら廃車。2000年に復活し、SL時代を知る人、知らない人に関わらず人気万点の機関車です。


(下) CK101型

元祖「復活SL」。平渓線や淡水線などの支線用蒸気機関車として1917年に日本汽車製造会社で8両が製作されました。その後、廃車となりましたが、大掛かりな復活工事により1998年に復活を遂げ、後のCK124復活に望みをつなぎました。



機関庫内部

 

扇形機関庫の内部。美しい曲線で描かれた天井は光を多く取り入れ、明るい印象です。
 

彰化のスターロコA セミセンターキャブのR20(EMD-G12A)、R50(EMD-G12U6)

 

扇形機関庫をネグラとするのは朱色に白帯のアカウマ、R20とその改良版R50です。彰化のR型ディーゼル機は海線台中港を中心とした貨物輸送に活躍しています。


R20とR50の両者は外観上は大差はありませんが、R50は重連総括制御にも対応する機関車で、ここ彰化周辺の他に花東線でも活躍中です。


(右中) DD14のようなサイドビューの朱色+白帯の機関車に囲まれ、まるで往年の日本国鉄の機関区にいるような風景です。

(右下) R50のトップナンバー、R51が給油燃料タンクをバックに休憩中でした。

彰化のスターロコB 貨物電機E300


扇形機関庫で知られる彰化機務段ですが、転車台の隣にはELの検修線があります。

ここには貨物機であるE300の大所帯で全39両のうち37両(E303-E339)が彰化の所属です。

また、E100も多くが彰化に所属していますが、大部分が現在休車中です。

彰化機務段の風景@

 

広く明るい構内を散策します。構内では職員さんたちが点検や入換を行っていました。

(右下) SL時代の給水塔も健在

 

彰化機務段の風景A

 


(上段中央) バッテリーの充電設備

(上段右) 重厚な放水銃。不慮の火災にも心強い装備です。

大吊車(操重車)との出会い

 




構内には巨大なクレーンを持つ大吊車が待機していました。1974年、唐榮台北機械廠にて製作。時速8Km/hでの自走も出来るスグレモノです。

大吊車のディテール

 

大吊車を近くで観察します。その迫力に圧倒です〜

彰化機務段の風景B

 

午後の穏やかな日差しの中、構内には車両を整備する音、彰化駅に発着する列車の音、DLのアイドリング音と色々な音が心地良く鳴り響きます。

ボイラー発見!

 


構内にはSLのボイラーが置かれていました。これはCK101の復活時に発生したボイラーです
(情報提供:常緑樹様 ありがとうございました)


 

汽笛一声!

 




構内を散策していると扇形機関庫の方からDLの汽笛が。

近寄ってみると一番端に停車中のR38型機関車が出庫待機中でした。

 

転車台を回す

 




DLの出庫に向けて職員さんが、転車台を回します。

手馴れた手つきであっという間に転向完了です。

機関車R38を乗せる

 



R38はゆっくりと転車台に近付き、ゴロゴロと言う音と共に転車台の中央で停止。

R38、大皿の上


78tの大柄な機関車は大皿の上でスーっと回転してゆきます。
 

ターンテーブル回転中

 

ターンテーブルを出発線に合わせ、静かに停止します。
 

R38出庫!

「行って来ま〜す」と汽笛を鳴らした後、R38は深いジョイント音を転車台に残し、貨車の待つ西部幹線へと出発して行きました。安全運転で行ってらっしゃ〜い☆
 

彰化機務段を後にする

日本時代より続く扇形機関庫の鎮座する彰化機務段。往年のSL時代から動力車の種類もすっかり様変わりし、今では貨物輸送の動力の要として貨物機の活躍を支えています。

古い機関区にマッチした味のある2台のSLが暮らし、貨物列車動力の中核でありながら、台湾の鉄道史を実で残す名門機関区として今後も目が離せない思いで、彰化機務段を後にした。

イソウロウ日時
2004年12月


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