「台湾」自強號EMU1200にイソウロウ第2部 〜山自強號!高速走行編〜
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↑「紅斑馬(レッドゼブラ)」の通称で親しまれるEMU1200は今日も西部幹線を快走!
EMU1200イソウロウの第2部は台湾中部の大都市、縦貫線"山線"に位置する台中駅からのスタートです。100万都市になろうとする台湾第3の都市、台中市の玄関はいつも多くの乗客で賑わっています。また、台中駅舎は歴史も古く、日本時代に建てられた台中駅舎は台湾でも史跡に指定されています。ホームでは乗降完了を確認して、列車はドアを閉めます。
第1部で松山→台北とイソウロウしてきた1011次に再びイソウロウ開始です☆山線を走る自強號「山自強」1011次は、松山駅からここ台中駅までは2時間30分弱。終点高雄までの旅の約半分を終えたところです。1011次の到着したホームは長距離客、短距離客と様々な利用者で賑わいます。
ほどなくして扉が閉まり、運転士さんの「開車 All Right(発車オーライ)!」の歓呼一声が響き渡ります。定刻の11時15分、自強1011次は静かにノッチが入り、台中駅を後にします。しばらくして速度が上がって来ると、足元からは吊掛モーターの低音が伝わってきます。
車窓には賑やかな台中の街並みが流れてゆきます。
列車はフルノッチで南を目指します。吊掛モーター音もゴキゲンな様子で音程を上げて行きます♪(左上) 次停車駅の表示器。(右上) ブレーキの空気圧力計はヨーロッパスタイル。
車内はビジネスから旅行者まで多くのの乗客で賑わい、台湾を担って立つ列車は今日も満員御礼です。(右下) 車内検札風景。車長(列車長)さんの後ろの赤い服の女性は車内清掃員さんです。運転中もマメに車内を回って清潔な車内を守っています。
列車は順調に加速を続け、台中の街を駆け抜けます。
台中発車から2分足らずで1011次は100Km/hに達します。日本では聞けないような高速の吊掛モーター音がスピード感を盛り上げます。 (左下) 閉塞信号機。西部幹線では低い位置に立つ物も多いです。
速度に乗ってきた頃、運転士さんが徐々にノッチを下げ、列車は惰行運転となります。ここには中性区間(デッドセクション)がある為です。セクションの終わりを意味する<復>の標識(右下)から編成分の距離を走って再度フルノッチで走行します。
列車は110Km/h程の高速を維持しながら走ります。
点呼も高らかに1011次は快走。次の通過駅、大慶駅が近付いて来ました。
列車は台中市内の大慶駅を通過します。1998年7月7日に開業した郊外型の比較的新しい駅です。
大慶駅を通過した列車は台中市から烏日郷に入ります。のどかな郊外風の田園が少しの間続きます。
台湾の優等列車では車内の到着駅案内放送を自動放送で行っています。国語(北京語)、台湾語、客家語、英語(大きな駅のみ)と流れる自動放送を司るのが、運転室後方の車長室にある自動放送装置です。ここに運行列車のスケジュールが入っていて、自動放送や車内/車外のLED案内板を制御しています。
台中駅到着放送「台中站到了」國語・台湾語・客家語英語 .wma sound(320Kb)
列車は110Km/hの速度を維持しながら晴天の台湾中部を心地良く走って行きます。
流れる車窓
吊掛モーターを唸らせて高速で走るEMU1200ですが、車内は静かで快適です。並行する道路の車をサクサク追い抜きながら、特急自強號は満員の乗客を安全に運びます。(右上) 清掃員のオバサンは働き者。休む事無く何往復も車内を掃除して回ります。
列車は烏日駅を通過。駅進入の手前で運転士さんは緩やかにブレーキを掛け始めました。
緩やかなブレーキ操作で列車は減速して行きます。線路左側には赤い三角形が4つ串刺しになったポールが。400m先に工事区間がある為、通過列車は減速せよと言う標識です(慢行豫告號誌機)。
列車は40Km/hまで減速。そして視界には線路を垂直に横切る立派な高架橋が見えて来ました。台湾新幹線(台灣高鐵)の台中烏日駅です!高架右側に新幹線ホームの屋根の骨組みが見えます。新幹線開業後は新幹線と台鉄線が連絡する駅になります。
新幹線の高架をくぐると目の前には工事中の台鉄ホームが見えて来ました。現在は殺風景な工事現場も近いうちに立派なターミナル駅として生を受けます。工事徐行区間を過ぎると列車は再びフルノッチで加速します。
EMU1200再加速風景動画でもどうぞ〜 .wmv movie (660Kb)
列車は再び100Km/h超の速度に突入!EMU1200は暖かい風を切って台湾の大動脈を快走します。(右上) 汽笛吹鳴指示の<鳴>の標識。(右下) EMU1200の汽笛レバー。前に押すと「プワーン」、手前に引くと「フィーン」と2種類の音がするヨーロッパ式。この音色はE1000自強號やはたまた韓国のKTXでも使われています。
前方には2本の進站號誌機(場内信号機)が建ち並びます。その奥に見えるのは成追線との分岐駅、成功駅です。
列車は分岐駅の成功駅を通過。複線の山線の右側に海線との連絡三角線である成追線が並行します。
成功駅を通過してしばらくすると右手に沿って走っていた成追線が追分駅目指して分かれて行きます。
参照ページ追分駅にイソウロウ
軽快なジョイント音に勇壮な吊掛モーター音を混ぜながらEMU1200は成追線に別れを告げます。
成追線と分かれてほどなく、次は右手に複線電化の海線が寄り添って来ました。列車は複々線の状態で大肚渓橋を渡ります。
大肚渓橋を渡れば列車は台中県から彰化県になります。しばらく複々線として走った山線と海線の線路は大肚渓の合流点で合流します。まず海線が単線になり、すぐに山線の複線に合流する形です。
山線と海線。2つの縦貫線が合流し、1本の縦貫線(南段)となります。列車は終点彰化駅を目指してラストスパートです。
9両の長い編成が一筋の矢となって西部幹線を疾走します。
前方からはEMU500の通勤電車がやって来ました。1011次は軽く汽笛で挨拶して離合します。
彰化の街が近付くにつれて、列車は徐々に速度を落としてゆきます。間もなく今回の目的地、彰化に到着します。
列車は彰化駅に接近し、ATSが作動します。運転士さんは警報ブザーを止め、前方の信号を歓呼します。「閉塞注意〜!」台湾の「注意」信号現示の制限速度は60Km/hです。
沿線に民家が増え、彰化駅のある中心部に入った事を実感します。1011次は50〜60Km/hで彰化駅停車体制に入ります。
前方にE100,E300といった貨物機の列が見えると右手には彰化機務段の扇形機関庫が姿を現します
参照ページ彰化機務段にイソウロウ
前方には彰化駅が見えます。1011次は一番左の第1月台に停車します。
列車は定刻で彰化駅の第1月台に滑り込みます。工事による徐行や満員の客扱いでどうしても遅れがちな西部幹線の自強號にあって「お見事!」の一言です。
列車は11時29分、彰化駅に到着しました。今回のイソウロウはここまで。台中〜彰化間17.6Kmを14分、表定速度75.4Km/hで走破です。
彰化は機関区や検車段(車両整備施設)を有する鉄道の要衝駅です。広い構内では西部幹線の様々な列車が体を休めています。(左上) 1011次はここで運転士さんの交代があり、3分間停車します。(右中段) 台湾の最新豪華列車「寶島之星(Formosa Star)」も検査待ちで留置されていました。
自強號1011次は3分間の停車時間を終え、終点の高雄を目指して出発して行きました。お世話になりました〜そして、高雄まで良い旅を!祝平安順利〜!
台湾新幹線開業間際にある現在の鐵路の大動脈、西部幹線を走る台湾デザインの特急電車、自強號EMU1200。今日もその独自の存在感と俊足で台湾の街と街、人と人を結んでいます。目の前に迫った新幹線と上手く共存し、台湾のインターシティー列車として末永い活躍を願いつつEMU1200の自強號を見送った。
イソウロウ日時2004年12月
第3部 南国特急編に続く(to Part3) →CLICK!