「台湾」自強號EMU1200にイソウロウ〜第3部 南国特急編 前編〜
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↑EMU1200は今や台鉄の顔。高雄駅弁のパッケージにも!
今回は台湾第2の都市、南部の高雄市から出発します。日中は多くの人で大賑わいの高雄駅も未明のこの時間は遠くにスクーターの音だけが響き都市の静寂に呑み込まれています。
早速朝の高雄駅ホームに向かいます。静寂な駅前もなんのその朝のホームは活気付き、すでに一日が始まっています。(中央下) 朝の普通列車。出発前は照明を落とし独特の雰囲気があります。(右下) 台北から南下して来た夜行列車が到着。ホームが更に活気付きます。
6時10分、2番月台に松山行きの自強號1004次が入線してきました。高雄発朝一番の自強號はEMU1200系電車の9両編成です。「EMU1200にイソウロウ」第3弾は朝一番の自強號、1004次で南部の大都市、高雄から北上し、雲林県の斗南までをイソウロウします。
発車15分前、まだ乗客の集まらないホームで台北・松山行きの自強號は乗客を待ちます。
今回も関係各所の協力を得て、運転室にイソウロウします〜発車までの時間、運転士さんは最終点検を終え、発車の時までしばし小休止です。
今回添乗する電車の運転士さん用の時刻表。運転士さんの始業はこの列車、自強1004次で高雄から彰化まで乗務し、折り返し1011次(EMU1200使用)で高雄に帰ってきます。まさにこの日はEMU1200系での彰化往復の日程となります。ちなみにEMU1200は9両全3編成(+予備3両1ユニット)。松山〜高雄(〜屏東)間一日2往復を2編成で行います。
発車5分前ともなると多くの乗客が列車に乗り込んで来ます。台北や台中の大都市に出向くビジネスマン、近場の都市に通勤する人と様々な乗客が乗り込みます。
おまけ
自強號1004次の走る西部幹線(縦貫線)の上り列車時刻を日本の国鉄末期の時刻表風にアレンジしてみました(^^ゞこうして整理してみると同区間がかつての東海道線や東北本線のような新幹線開業直前の特急街道である雰囲気が十分に感じ取れます。「自強1004号」こと1004次は高雄を6時25分に出発し、我々の目的地、斗南が7時56分、終点松山には11時22分に到着します。*注意この時刻表は実際のダイヤを元に特急街道の雰囲気を感じて頂ける様に作成した参照用です。モチロン実際はL特急と言う列車種別は無い上、運賃制度など日本と異なる点も多々有ります。
出発信号が緑になり、程なく発車を知らせるベルがホームに響き渡ります。「1004次、開車(発車)謝謝!」列車長(車掌長)さんからの無線と同時にホームの駅員さんも発車の合図を送ります6時25分、1004次は台北(松山)を目指して静かに動き出しました。
上品なツリカケ音をホームに残し、我々の乗った自強1004次は今日も満員の乗客を乗せて旅立ちます。イソウロウ先の斗南までは131.8Kmを90分。表定速度87.9Km/hの旅です。
列車は静かに加速しながら北上します。次の鼓山駅(貨物駅)までは縦貫線の複線に高雄港線へと接続する路線が平行する3線区間となります。
高雄の市内をしばらく走ると市の中心を流れる愛河の鉄橋を渡ります。早朝の愛河はいたって静寂そのものです。
愛河を渡ると列車は加速を続け、鼓山駅に差し掛かります。緩やかなカーブの駅を通過し終えた時点でフルノッチ!足元の吊り掛けモーターがうなりを上げます。
1004次は110Km/hまで速度を上げ、朝の高雄郊外を疾走します。
運転士さんはこまめにノッチを調整し、この区間の最高速度、110Km/hを維持します。運転室前面ではモーター音に風を切る音が混じり独特のハーモニーを奏でます。
左營駅通過!
列車は颯爽と左營駅を通過します。
左營を通過後、ゆっくりとブレーキが入り、列車が減速を行います。台湾高鐵(新幹線)とのアクセス駅、左營新の工事現場を通過するための減速です。
列車は工事中の左營新駅を通過します。台湾高鐵では高雄側の終着駅を当面ここ「(高鐵)左營」駅に置き、接続する台鉄線は「左營新」駅となります。国鉄である台湾鐵路局(在来線)と私鉄である台湾高鐵(新幹線)の微妙な関係が興味深いです。
左營新を通過すると線路の大河の中を走ります。左側は左營新〜高雄のシャトル電車の留置線。右に標準軌である高鐵本線、高鐵留置線群と広がります。
しばらく高鐵と併走した後、高鐵は高架になり分かれて行きます。別れ際に、留置線で休む高鐵の新幹線車両、700T型(通称)の勇姿が見られます。
線路の大河に別れを告げ、複線区間をひたすら独走します。
1004次は快調に楠梓(3番)、橋頭(7番)と通過して行きます。(5〜9番) 橋頭駅付近の区間は工事中の高雄捷運(紅線)の高架が並行します。
橋頭駅を過ぎるとEMU1200は最高速度120Km/hでの運転となります。モーターの高音を唸らせながら次の停車駅、岡山を目指します。
1004次は薄く霧の掛かった朝の西部幹線を疾走します。
前方に場内注意信号が見えたと同時に運転室ではATSのブザーが鳴り響きます。最初の停車駅、岡山駅が近づいてきました。
岡山駅に入線する松山行き特急電車。日本が8000系「しおかぜ」ならここ台湾では1200系「自強」です^^;ホームにはビジネス客よりも通学の学生の姿が目立ちます。自強號1004次は長距離の大都市輸送と同時に近距離の通勤通学の足としての役目をも果たします。
岡山駅で多くの乗客を乗せ1004次は発車を待ちます。
多くの乗客を乗せるのに時間を要し、1004次は3分遅れで岡山を発車しました。次の停車駅は高雄と並ぶ南部の大都市、台南です。(5,6番) 岡山に出稼ぎ中の入換機はS206(7,8番) 架線下DLで台東へ向かう91次とすれ違い。
岡山を後にして自強號1004次は加速を続け、2分ほどでトップスピードの120Km/hとなります。
110〜120Km/hの速度を維持したまま北上を続けます。
1004次は路竹駅(4番)を通過、高雄県はここまで。ここから列車は台南県に入り、大湖駅(8番)を軽やかに通過して行きます。スピードに乗って少しづつ遅れも取り戻します。
大湖を過ぎると前方にはかつての製糖鉄道、仁徳糖廠阿蓮線のオーバークロス跡が見えます。現役当時は個性的な橋が架かっていましたが現在は残った橋脚跡のみが静かに歴史を物語ります。台湾南部は最近まではサトウキビ生産が盛んでこういった製糖鉄道が網目のように敷かれていました。
おすすめサイト(日本語)
GP7500鐵路の轍台湾黄昏地帯歓迎光臨台湾軽便鐵路
仁徳糖廠線の現役時代の貴重な画像が満載です。
列車は特急街道をひた走ります。軽やかに走る列車とは裏腹に車内は立席が出るほど混雑。長距離客と通勤客の両方を乗せる自強號の側面が垣間見えます。
列車は中州駅を通過、高雄に向かう通勤電車ともすれ違います。
台湾南部はウナギ養殖のメッカ。中州を過ぎた辺りから沿線には多くのウナギ養殖池が見えて来ます。
水面を叩く水車の向こうを1004次が快走します。空も少しづつ明るくなってきました。
1004次は減速しながら保安駅を通過。駅を出たところで橋梁工事による速度制限区間をゆっくりとやり過ごし再び加速を続けます。
養殖池や水田などの広大な車窓から少しづつ人家が増え、やがて台南市の市街地に入ります。
1004次はデッドセクションを交わし(1〜3番)た後すぐに減速、2分遅れで台南駅へ到着となりました。
列車は多くの乗客が待つ台南駅に到着。EMU1200の自強號1004次の旅は後編に続きます。
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