「台湾」高雄港駅にイソウロウ

〜第2部 惜別の日々編 
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究極の「非自動」手動ヤードの司令塔にイソウロウ


建物から伸びるポイント伝達ロッド。広大なヤードのポイントも全てが手動です
 

エメラルド・バルコニー

 



高雄港駅の列車進路と信号を司る司令塔がここ、「非自動CTC」北號誌樓行車室です。

空港で言うなら管制塔とも言えるこの建物は列車が良く見渡せるようにベランダのある2階建ての建物です。

高雄港駅の廃止と共にこの建物も1文化財として後世に歴史を語る存在となります。
 

北號誌樓行車室内部

 

今回は特別に撮影許可を頂いており、早速イソウロウです〜☆

早速2Fの信号扱い室に入ります。

板張りの床に前鎮〜高雄港の閉塞機が鎮座します。

ポイント・信号操作テコ

 


そしてこの部屋のメイン、構内のポイントと色灯信号機の操作をするテコが並びます。

大きいテコがポイント、手前の上から下がっているレバーが出発信号の操作スイッチ、奥にある同様のレバーは場内信号機の操作レバー。

信号員さん

 


北號誌樓行車室では信号員さんが一人で全ての業務を行っています。

「ここは台鉄でも歴史のある施設なんだ。」と胸を張ります。

機器のディテール

 

フルマニュアルの機器を観察します。メカニックな感じが非常に興味をそそります。

(左下) 構内放送を行う装置。構内のスピーカーから流れる声はここから発信されます。

機器を観察

 


全てが骨董品ながら大切に手入れされながら使われている為、非常にきれいな状態です。

(中段左) 機器箱の南京錠にも台鉄のマークが。

ベランダに出る

 

風通しのいいベランダは古き良き木造建築の魅力に溢れています。

内部探検〜

 



建物の内部を観察します。

(左上) 1階の一部が宿直室になっています。

お昼の時間!

 

午後の貨物は2時頃と言う事で、昼食を食べます〜☆

今日は少し酸味の効いたスープと竜田揚げにも似た台湾風のから揚げ。信号員さんと2人で食べます。

信号員さん、大感謝〜!

お昼休み

 



食後は軽く昼寝をしながら、午後の貨物到着までの時間をくつろぎます。

ゆっくりと時は流れ

 






静かな信号室にゆったりと時が流れます。
 

ロッドのディテール

 



建物から四方に伸びるポイント用ロッドを観察。油の臭いが鉄路の魅力満載に漂ってきます。

TRA列車検索

 



非自動の閉塞機の隣にはハイテクな台鉄のオンラインPCがあります。

「TRA列車資訊系統(列車検索システム)」は台湾の全ての有人駅に設置されたシステム。台湾中の全ての列車運行状況や現在位置を確認することが出来ます。

14時15分 貨物列車、鼓山駅出発準備完了!

 


事務室の電話が鳴り、前の駅(鼓山駅)で待機中の貨物列車が出発するとの連絡が入りました。

お昼休みは終わり。午後の貨物列車を迎え入れる準備をします。

進路を作る


重たいテコを動かし貨物列車の進路を作った後、場内信号機を点灯。貨物列車の到着準備が完了です。
 

14:23 午後の貨物到着


程なくS200に牽引されて貨物列車が到着。高雄港駅も午後の仕事が始まります。

 

午後の入換開始! 

 

列車が到着後、入換を開始します。せわしない無線の音、きしむようなテコの音、上機嫌なS200のエンジン音、突放貨車の連結音と賑やかな音が辺りにこだまします。
 

入換は続く

 

信号員さんはテキパキと入換作業を進めます。複雑な構内配線で進路を作る正確な判断力と、重い信号テコを操作する体力、その両方が要求される大変な職務です。

 

入換は続く

 



午後の日差しのさす構内でどんどんと編成が出来上がってきます。

チ〜ン!

 



入換が一段楽した頃、通票閉塞機のベルが鳴ります。前鎮駅から2085次「DoDo火車(點心列車)」の出発が連絡されてきました。

前鎮〜高雄港の閉塞を開ける為、信号員さんも閉塞機で信号を送ります。


15時56分 2085次「DoDo火車」高雄港駅出発!


DoDo火車はバスのような澄んだタイフォンを残してゆっくりと走り抜けて行きました。
 


タブレットの引き上げ

 

DoDo火車通過後、タブレットと書類を持った職員さんがやって来た。垂らした紐にタブレットと書類を結びつけ、信号員さんが引き上げます。
 

通票扱い


早速タブレットから通票を抜き出し前鎮駅と連携して閉塞作業を行います
 

遠くに船の汽笛

 


ベランダから見た貨物の列の向こうを低い汽笛を鳴らして大型の貨物船が通過しました。

再び入換作業

 




DoDo火車の発着で中断した入換作業が再開します。

大人数で賑やかにやるヤード内とは対照にもくもくと安全正確に進路作りを行います。


消え行く運命を背負った高雄港駅の信号詰所。いつもと変わらない作業をする午後、この時間だけはいつもと変わらずに流れてゆきます。

16時20分 入換作業完了

 

かくして午後の貨物列車の入換が完了。入換作業員さんのお仕事は終わり。車掌車に乗って前鎮駅に帰ります。
 

16時25分 貨物列車発車


信号員さんは貨物列車の進路を作り、今日最後の列車を送り出します。
 

進路を戻す





列車の出発後、進路を基本位置に戻して、数回の無線通信の後、今日の信号扱い業務は完了します。

信号詰所の一日が終わる

 

「今日はこれで列車は無いよ。また来いよと言いたいが、もうこの駅は無くなるんだ」

信号員さんは書類の整理を始め、昔よりちょっぴり早いけどいつもと変わらない信号詰所の一日が終わります。

消え行く高雄港駅の最後に是非目に焼き付けたかった信号詰所の風景。この場に居合わす事が出来た感激を胸に信号員さんにお礼を言って信号詰所を後にしました。
 

さようなら高雄港駅!高雄港駅を後にする

台湾の南部の大都市、高雄の鉄道創世記から活躍し、高雄のそして台湾の発展を語る上で欠かすことの出来ない鉄道貨物駅、高雄港駅。全てを人の手により行う古くからのスタイルを貫いた駅は時代の流れには逆らえず、歴史の中へと消えようとしています。
地味に見える貨物駅ながら、多くの人が支えたこの駅の様々なドラマを、思い出をいつまでも人々の胸に残ることを願いつつ、夕陽の傾いた高雄港駅を後にした…

イソウロウ日時
2006年1月


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