「台湾」自強號EMU300にイソウロウ

〜後編 
La collina della brezza del mare-風吹く丘を駆ける


いよいよ海線らしく!風の吹く丘を駆ける


↑スタイリッシュでダイナミック、台湾の海岸路線を駆けるイタリア生まれの特急電車
 

1024次、大甲駅停車中

 

我々の乗る列車、海自強1024次は大甲駅でしばし休息。90秒の停車時間に多くの乗客が乗り込みます。
 

15時37分、大甲駅出発

 

1024次は1分遅れで大甲駅を出発。軽やかに吊り掛け音を奏でながら再び単線区間に入ります。

(5番) 運転台パネルの電流計。上昇しながらどんどん列車を引っ張ってゆきます。

風景はローカルに

 

大甲を出発した列車は海こそ見えずとも雄大で懐かしいローカル風景の中を疾走します

古くて美しい風景を

 

車窓左手には昔懐かしい感の溢れる家屋が建ち並びます。少し高いところを走り抜ける風景は海線がかつてのメインルートであった名残を感じます。

動画でもどうぞ
「風情のある高台を疾走」
Movie(.wmv 535kb)

大安渓を越えて

 

列車は大甲鎮に注ぐ川、大安渓を渡ります。

(3番) 大安渓橋はかつては複線区間。2本のコンクリート橋が並びます。

日南駅接近

 



大安渓橋を抜けると前方には日南駅が見えて来ます。

日南駅通過〜苗栗県へ

 

列車は日南駅を通過。ここから複線区間となり1024次は左側通行となります。複線区間をしばらく走ると列車は台中県から苗栗県へと入ります。

1024次は走る

  

列車は100Km/h超の速度を維持して快走します。

(右上) 運転室と客室の仕切りは縦ストライプの入った扉。先頭車客室からもストライプ越しにカブリツキが可能です。

(左下) EMU308編成のカーテン。イタリアの電車ながら、いかにも台湾デザインの微笑ましいリス柄のカーテン。

苑裡駅に向けて

 


運転室では信号歓呼が続きます。高速で走る自強號、確実な信号歓呼で安全運転を続けます。

次は停車駅の苑裡駅です。

15時46分、苑裡駅到着

 

列車は小さな川を数箇所渡り、車窓に人家が増えると苑裡駅へと到着します。

(7〜9番) 苑裡駅では駅舎に近いホームに停車するため、走路を右に移します。

苑裡駅停車中

 

列車は苗栗県最初の停車駅、苑裡に停車します。90秒の停車時間に1分遅れを吸収して行きます。


(右下) 空気ブレーキの計器はヤード・ポンド式。PSI(重量ポンド毎平方インチ)で表示されます。

15時47分、苑裡駅発車

 

1024次は30秒遅れで苑裡駅を出発。雄大な車窓に敷かれた単線区間を快走します。

通霄駅到着

 

遠くに台湾電力の火力発電所の煙突が見えれば通霄駅に接近します。中性区間(デッドセクション)を越えて30秒の遅延で進入します。

(6〜9番) DL牽引の貨物列車が待機中でした。
 

通霄駅停車中

 

通霄駅で停車。運転士さんは運転日誌を記入し、出発合図を待ちます。

 

15時53分、通霄駅定時発車

 

1024次は90秒停車で遅れを吸収し、定刻の15時53分、通霄駅を出発します。ここからは複線区間となり、1024次は右側線路を走ります。

動画でもどうぞ
「右側通行でGo!」
Movie(.wmv 763kb)

1号線と並走

 



列車は右手に道路の大動脈、省道1号線と並走します。EMU300は甲高い吊り掛け音を奏でながら次々と車を追い抜きます。
 

 

新埔駅接近〜運転停車

 

列車は新埔駅に接近。通過駅ですが対向列車の遅れのために運転停車します。傍らの貨物列車と共に対向列車の復興115次を待ちます。
 

復興115次通過、15時59分、新埔出発

 


程なく台北松山からの復興115次が姿を現しました。

復興號の通過を待って1024次は1分30秒遅れで新埔駅を出発します。

海沿い線路〜白沙屯駅通過

 

新埔駅を発車すると車窓にも海が広がります。列車は軽快に走り白沙屯駅を通過。ここから再び複線区間。我らが海自強1024次は左側通行を行います。

海岸線の街を駆ける

 

白沙屯駅を通過するとしばらく町並みを走り抜け、再び海の車窓が広がります。

海線のハイライト!風車群が見えて来た!

 

列車前方には風力発電の風車群が見えて来ました。この地域は風が強いため、最近になってこの地の利を活かした風力発電が行われ始めました。



ここからが海線のハイライト、巨大風車が大海原と向き合う風景が続きます。

風吹く丘を駆ける

 

近づくにつれ巨大さを増す風車群の傍らを列車は走り抜けます。

 

自強號は風吹く丘をどこまでも走り続けます。海に面した雄大な景色、巨大な風車に開けた風景、スケールの大きな中を走る我々は鉄道模型のレイアウトを走っているような気分になります。


風吹く丘から下三叉渓橋

 

風車群の脇をかすめた後は下三叉渓橋で西湖渓の出海口を越えます。左車窓は台湾海峡!海線らしい風光明媚な車窓が続きます。

行包列車(荷物列車)

 

前方からは荷物列車がやって来ました。平快で使用された藍色客車を荷物車として流用しているため、一見平快車の復活を思わせます☆

 

行包列車とすれ違う

 

1024次は軽く警笛を鳴らし行包列車と行き違いをします。

龍港駅通過

 

車窓から海が隠れると龍港駅です。軽やかに通過し、次の停車駅、後龍駅を目指します。

後龍渓の河口沿いに

 

列車は後龍渓の河口に沿って走り、後龍渓を渡れば(6番)、線路は単線高架になり(7番)、後龍駅を目指します。この区間は最近高架化切り替えが行われたばかりで、まだ右下には旧線が残っています。
 

後龍駅接近

 

前方に大きな流線型の屋根が見えて来ました。これが新しく高架になった後龍駅です。

 

16時10分、後龍駅到着

 

列車は30秒遅れで真新しい後龍駅にホームに滑り込みました。新しい駅に運転士さんも慎重にブレーキを操作します。

後龍駅出発〜竹南に向けて

 

後龍駅を出発した列車は、しばらく高架区間を走り、地上に降ります。この辺りは工事区間も多く、列車は減速しながらの走行が続きます。
 

動画でもどうぞ
「工事区間終了
最加速!」

Movie
(.wmv 737kb)

海線ラストスパート 

 



1024次の運転士さん用時刻表。後龍から竹南まで海線区間もあとわずかです。




 

大山駅通過〜中南港渓に沿って走る

 

列車は大山駅を通過してしばらく行くと左手前方に中港渓の水面を見ながら走ります。

(5番) 高雄までのロングランを果たす電車2665次は12分遅れで退避中。
 

談文南(信)通過



列車は中港渓に沿って走り、談文南號誌(信号場)を通過、線路は複線区間となり、1024次は左側を走ります


EMU300快走!

 

複線区間となった海線をEMU300は快走します。

 

談文駅接近


車窓から中港渓が遠のくと談文駅に掛かります。対向列車の電車2201時が遅れている為、運転停車となります。


電車2201次到着

 



電車2201次の到着を待って、我々の列車、自強1024次は3分遅れで談文駅を出発します。

海線最後の区間

 

談文駅を発車すると高架工事区間を右手に見ながら走ります。中港渓を渡る橋で最後の中性区間を迎えると右手には山線が沿ってきます。

山線と合流

 

列車は大肚渓(信)で分かれた山線と再び並走し、竹南駅へと向かいます。
 

16時27分 竹南駅到着

1024次は3分遅れで竹南駅に到着。2分の停車時間から遅れを吸収するため、手早く客扱いを行います。
 

台湾鐵路屈指の大動脈、縦貫線北段へ!

 

90秒遅れで竹南駅を出発した列車は山線+海線の過密区間「縦貫線(北段)」として北上を開始します。

縦貫線北上 〜 崎頂駅通過

列車は軽い山区間となり、90〜110Km/hで速度を調節しながら縦貫線を北上します。新竹県や苗栗県の下校時間を見越してか多くの通勤電車とすれ違います。

(4〜6番) 崎頂駅を通過すると車窓左手に海の見える区間があります。
 

香山駅

 

平地に入った列車は110Km/hまで速度を上げ、香山駅に接近。高速で走る区間ゆえに進站號誌(場内信号機)も高く掲げられています。

「進站オーライ!」点呼も軽やかに通過します
 

香山駅〜ラストスパート

1024次は香山駅を通過。次はいよいよ我々の目的地、新竹駅に到着です。
 

新竹駅進入体制

 



運転士さんがダイヤをチェック。新竹駅進入体制がとられます。現在の遅れは約1分。2分停車で遅れを吸収、定時運転が見込めます。
 

新竹の街へ入る

 

左手に省道1號線が並走すると新竹の街並みへと入ります。雄大な海の風景を満喫した列車もいよいよ台湾屈指のハイテク都市へと踏み入れます。
 

16時41分、1024次新竹駅到着

賑やかな新竹の街並みを見ながら1024次は1分遅れの16時41分、新竹駅に到着しました。今回のイソウロウはここまで。
 

新竹駅の風景

 



運転士さんと台鉄職員さんにお礼を言って列車を降ります。

新竹はハイテク産業が盛んな都市。しかしその駅舎は日本時代から続く重厚な面持ち。温故知新の名の通りの風景が広がります。

また、新竹駅は台鉄3大支線の1つ、内湾線の分岐駅でもあります。


参考ページ

内湾線DRC1000にイソウロウ

16時42分、1024次定時発車

1024次は無事に定時に戻し、台北・蘇澳に向けて出発しました。大感謝!一路平安〜!
 

EMU300を後にする

自強號専用電車としてイタリアで生まれたEMU300。人気の根強いEMU100や大整形を行ったEMU1200とは違い、地味で堅実に見えがちですが、フットワークの良さは台鉄でもピカイチ。今後も末永く海辺に吊り掛け音を響かせて欲しいと願いつつEMU300を後にした…

イソウロウ日時
2006年1月


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