「台湾」内湾線DR2510にイソウロウ

〜後編 団体列車で旅をする〜


2007.1.13 内湾線にDR2510が一日限りの里帰り


↑かつて内湾線で活躍したDR2510。団体列車として久々に内湾線を走ります。
 

Special Thanks to

路總部
Luke's Depository

路總部

今回の貸し切り列車を企画した台湾の鉄道趣味のコミュニティ。中でも高度な撮影技術と作画センスに長けた会員の皆様の撮影作品は台湾の鉄道写真の世界をリードしています。

最近は撮るばかりでなく乗って楽しむ・集めて楽しむなど撮影にとらわれず幅広い活動を行っています。
 

571次、樹林駅停車中

 

樹林駅第2月台では我々の乗る571次が出発の時を待っています。
 

樹林駅の風景

 

台北郊外、樹林市にある樹林駅は首都圏郊外の駅であると共に、巨大な車両基地を要する台鉄の重要な輸送拠点となっています。

台北から宜蘭・花蓮・台東等を目指す東部幹線の列車の多くがここ樹林駅を基点として運行されます。


(参考)
571次のダイヤ

今回もダイヤを国鉄時刻表風に^^;

我々の乗る571次は自強1015次が樹林駅を通過した直後の10時38分に出発、新竹までノンストップで走り11時38分、新竹到着、方向転換で9分停車し、竹東、九讚頭と通票授受のための停車を行って終点内湾には12時40分に到着します。

なお、定期列車のダイヤや交換設備の都合から内湾ではわすか3分間の停車の後、572次として来た道を樹林へと帰ります。

10時53分、樹林発車

 

程なく出発信号が点灯、571次は15分の遅れでゆっくりと出発します。列車はゆっくりと上り線を横断し、下り本線に入ります。

さぁ!旅が始まりました!ここから新竹までノンストップで走ります☆
 

DR2510について

 

DR2510は自強号DR3000の足回りを参考にして1991年に2両が台湾の唐榮にて製作されました。カミンズ社の310HPのエンジンを1両に各1台搭載し最高速度110Km/hはまさに自強号の性能そのままです。

また、最近は車内のロングシート化、変速機の変速・直結を自動切換えとするなどの仕様に改良されています。
 
また2006年のATP導入に併せて通信機器の交換が行われましたが、ATP車上装置は2007年1月現在、未装備(従来のATS仕様)となっています。


DR2510、加速中

 

DR2510は加速を続けながら樹林調車場の横を通過(1,2番)、50〜60Km/hほどの速度を維持して走ります。

(7,8番) 台湾でも人気の高い山佳駅。日本時代からの古い駅舎が良い雰囲気を出しています。
 


陶芸の里を走る

 

車窓に陶芸の窯元の看板が多く見えて来ると鶯歌の街です。571次は架線の下をエンジン音も高らかに軽快な走りを見せます。

11時2分、鶯歌通過

 
R180の重連によるセメント貨物とすれ違うと(3,4番)列車は鶯歌駅を通過します。
 

鉄道ファンの団体列車

  

団体列車でオフ会という車内では久々に会うという会員も多く、再会を喜ぶ楽しい会話が弾みます。

また、家族で参加するファンも多く、車内は楽しい時間が続きます。

11時11分、桃園通過!

 

前方右方から走り慣れた林口線が寄り添ってくると(3番)列車は桃園駅を通過します。前方の列車、19次が桃園の客扱いに手間取り、遅れて発車した為、出発信号は減速を現示しています(8番)
 

Go!Go!DR2510

  

小さな2両の気動車は快調に西部幹線を南下します。

内[土歴]駅〜中[土歴]駅

 

列車は内[土歴]駅(3番)、中[土歴]駅(9番)と通過します。過密区間とあって通勤電車や貨物列車など多くの列車とすれ違います。
 

埔心駅〜楊梅駅〜富岡駅

 

列車は埔心駅(4番)〜楊梅駅(7番)〜富岡駅(9番)と通過します。ノンストップと言えど前方の列車との間隔を微妙に調整しながらの運転は絶妙です。

DR2510、快走!

 

DR2510は台湾の大動脈を快走します。

湖口駅〜新豊駅

 

湖口駅(1番)を通過。暫くすると左手から線路が寄って来ます。台湾の車両メーカー、台湾車両の引込み線です。最新型の通勤電車EMU700も2日前に日本から到着してすぐにここを通りました。
 

11時45分、新豊駅

 

列車は21分遅れで新豊駅を通過します。上り線には退避中の貨物列車の横を台北を目指す呂*光號が到着しようとしています。

 

新豊駅〜竹北駅

 

新豊駅の貨物列車にはPP自強号の中間車も連結されていました(1番)。列車は快調に鳳山渓橋を渡り(4,5番)竹北駅(7番)を通過します
 

新竹を目指し

 

列車は新竹駅を目指して走ります。
 

新竹駅接近

 

車窓左手に内湾線の線路が寄り添ってきました(3番)。新竹駅はもうすぐです。新竹貨物駅の横をかすめると(6番)、列車は新竹駅に入線します♪
 

新竹駅のホーム

 

新竹駅の内湾線ホームへと入線します。ここでも列車を心待ちにしていたファンがカメラで迎えてくれました。

11時57分、新竹駅到着

 

休日の混雑により列車は21分の遅れの11時57分、12時10分発の定期列車の横に到着します。樹林から乗ってきた台北機務段の運転士さんは新竹機務段の運転士さんにハンドルをバトンタッチします。

樹林からの運転士さん、お疲れ様でした〜☆そして新竹機務段の運転士さん、よろしくお願いします〜♪
 

新竹駅停車中

 

ダイヤの乱れで列車が遅れていることもあり、車掌さんが「写真撮ったら早く乗ってください〜」と促します。


12時1分、571次、新竹発車

 

列車は新竹駅を発車。いよいよ部分運休となる内湾線へと入ります。

(8番) 新竹貨物駅の出発信号。「内湾線、開車オーライ!」

内湾線へ入る

 

列車は西部幹線と別れて単線非電化の内湾線に入ります。DR2510も10年近く御無沙汰していた内湾線に久々の入線です。

内湾線を楽しむ

 

列車は軽快に内湾線を走ります。楽しい雰囲気の車内はもちろん、DR2510もかつて走り慣らしたこの線路を楽しんで走っているようです(*^^*)


竹中駅 〜 上員駅

 

列車は竹中駅(2番)を通過、台湾高鐵の高架橋をくぐります。台湾高鐵の新竹駅もこの近くにあり、ここ内湾線もこの1ヵ月半後新幹線アクセス鉄道への路線改良のため新竹〜竹東を3年間運休させます。単線非電化の内湾線も見納めとなりました。

(7番) ホーム1本の上員駅を通過
 

栄華駅〜竹東を目指して

 

列車は小さなトンネルを通過して栄華駅を通過(7番)、内湾線の暫定始発駅になる竹東駅を目指します。
 

竹東駅接近

 

日本のローカル線を思い起こさせる場内信号機が現れたらもうすぐ竹東駅です。


12時21分、竹東駅到着

 

列車は遅れを11分に圧縮して竹東駅に到着。2007年3月からはここが内湾線の運転拠点となります。
 

竹東駅の通票授受

 

内湾線は竹東から通票閉塞になります。駅員さんが九讚頭までのタブレットキャリアーの大きな輪っかを運んで来ました。
 

「ジョウザントウ・イェンシン!」

 

九讚頭までの通票を受け取ります。部分運休後は竹東〜内湾が1つの閉塞となるそうで、九讚頭までの閉塞も見納めとなりました。

駅員さんと運転士さんは「ジョウザントウ・イェンシン(九讚頭、円形)」と通票種別の点呼をします。
 

571次、竹東開車〜!

 

腕木信号機が出発現示になり、12時23分、571次は竹東駅を出発します。
 

九讚頭へ向けて

 

竹東駅を出発した列車は最徐行で2段式の場内信号機を見送り(4,5,7番)次の停車駅、九讚頭駅を目指して走ります。
 

DR2510は走る

 

台湾の冬のやわらかな風を切って列車は走ります。窓を開けて列車と沿線の空気感を楽しむ…古風な気動車の旅は千金の値があります☆
 

上坪渓を越える

 

列車は長大なコンクリート橋で上坪渓を越えて行きます。
 

内湾線のハイライト、上坪渓橋のDR2510

 

上坪渓橋を渡る列車。ラッピングはされているものの、往年を髣髴させる風景が甦ります。
 

上坪渓橋〜横山駅

 

列車は軽やかに内湾線を走ります。

(6番) 横山駅は既存ホームの100mほど内湾寄りに新しいホームが作られていました。「俺たちは自強号だ〜☆」と571次は軽やかに通過します。
 

九讚頭へ

 

列車は横山郷の風を切って油羅渓に架かる橋を渡ると前方に腕木信号機が現れました。台鉄の腕木の聖地、九讚頭駅の場内信号機です。列車は減速し、停止現示に従って停止します
 

場内開通〜

 

暫くして腕が下がり、場内が開通します。列車はゆっくりと九讚頭駅に入線します。
 

九讚頭駅入線

 

列車は九讚頭駅ホームへと滑り込みます。上り線には新竹へ向かうDRC1000の区間車が待っていました。
 

12時35分、九讚頭到着

 

かくして列車は我々の目的地、九讚頭駅に到着。今回のイソウロウはここまで。
 

九讚頭の通票授受

 

てきぱきと通票授受を行ってまずは新竹行きの定期列車を送り出します。
 

571次、開車準備

 

駅員さんは続いて571次の進路を開けます。
 

内湾へのスタフ

 

内湾までのスタフを571次へ手渡し。出発準備が完了です。
 

571次を見送る

 

駅員さんの合図で列車は終点の内湾を目指してラストスパートです。路總部の皆様、おじゃましました。ありがとうございました、この先も旅途愉快です〜(^^)/~~~
 

九讚頭駅の風景

 

列車を見送った九讚頭駅はまたいつもの静寂な空間へと戻ります。ここでの閉塞扱いが無くなっても風情ある駅の風景はいつまでもそのままでいて欲しいです。
 


内湾線DR2510を後にする


九讚頭を出た列車は山間の内湾駅を目指します。
合興駅〜富貴駅にて撮影

かつては工業路線だった内湾線。今では高速鉄道アクセス線を兼ねた都市近郊路線へと生まれ変わろうとしています。そんな路線をかつてのパートナー、DR2510が走ります。決して派手ではないものの、鉄道ファンの情熱によって実現した夢の列車と時間を共に出来たことに感謝しつつ、DR2510を後にした…

イソウロウ日時
2007年1月

今回の企画に参加させていただいた路總部の皆様には心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

内湾線は路線改良+新幹線アクセス線建設+電化工事のため、2007年3月からおよそ3年の予定で新竹〜竹東間を部分運休しています。 


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